軽自動車の減価償却はどうなる?新車・中古車で違いがあるってホント?
個人事業主などが、自動車などを購入する際に、視野に入ってくるのが減価償却です。非常に有用な制度ですので、ぜひとも利用して購入したいところです。ここでは、そもそも減価償却費とは何なのか、新車と中古車で違いがあるので、自動車を経費計上するなら、押さえておきたい注意点について解説していきます。
そもそも減価償却費とは
形あるものは、製造したその瞬間から劣化が始まっているといえます。たとえば、スーパーで購入した葉物野菜は、常温で置いておけば、2日と持たずに食用に向かなくなってしまいます。パソコンは、購入してからおおよそ、5年から10年周期で買い替えが必要とされていますが、そのまま何十年も使い続ける方もいます。このようにものには、劣化の度合いから使用に耐えうる標準的な日数があり、その日数はものによって、まったく違います。
減価償却費は、大雑把にいうと「購入した物の耐用年数に応じて、価値がどんどん落ちていくのだから、その分を一気に払わず、分けて計上することで、実体にあった納税を実現しよう」という制度です。つまり、購入した費用をそのものの耐用年数に応じて割り算し、一年ずつ計上するのです。経費を一気に計上すると何が問題なのかというと、とくに融資を受ける場合に不利益を被ります。たとえば、商品の生産に必要な機材を2000万円で購入し、導入初年度の利益が1000万円だったとします。これをそのまま計算すると、単純計算で1000万円の赤字になりますが、仮に事業が順調で、毎年1000万円の利益を出せたなら、機材の初期費用は、3年目でペイできる計算になります。
しかし、あなたが融資を行う、銀行員などの金融機関の人間だったらどう思うでしょうか。事業計画は金融政策、外交、株式市場の動向など、さまざまな外的要因や社内の組織の統合、合併などの内的要因によって、簡単に変更を余儀なくされることがあります。要するに事業主は儲からなくなる、融資する側は、融資を回収できなくなる可能性を常に抱えながら事業を行っています。
単純に赤字の会社に誰が融資をするでしょうか。よほどの将来的な展望があって、確実な利益が見込め、返済が可能であると判断できなければ普通しませんよね。そうなってしまうと、事業主は継続的な事業ができなくなります。とくに原材料費、設備費などを多くの融資で賄い、利益を出している製造業、第一次産業に従事する方にとっては死活問題です。これを回避するために減価償却の制度があるのです。
減価償却を行うことで、どのように計上方法が変化するのか、上記の例を取って説明しましょう。仮に2000万円の機材の耐用年数が10年であった場合、2000万円を10年にわたって計上することになります。たとえば、定額法で計算すると、1年で計上する経費は単純計算で200万円になります。そうすると、初年度の利益が1000万円なので、200万円を差し引いて、利益は800万円になります。こうすることで、事業の1年ごとの利益を計算でき、適切な税金計算に寄与しているのです。
新車と中古車で違いがあるので注意
減価償却を計上する際には、新車と中古車で違いがあるので注意が必要です。新車は、耐用年数をそのまま減価償却の年数として計上します。耐用年数は、普通自動車が6年間、軽自動車が4年間となります。
反面、中古車は前オーナーが利用した期間を耐用年数から差し引き、残りの期間を計上することになります。つまり、それぞれ同じ金額で購入しても、残りの耐用年数の関係から中古車の方が、相対的に1年あたりの計上金額が、大きくなることになります。普通自動車の新車を300万円買った場合と、中古で300万円の前オーナーが4年乗った普通自動車を買った場合を見てみましょう。
新車の場合は、耐用年数が6年なので、1年ごとに計上できる金額は、50万円になります。中古車は、残耐用年数が2年なので、1年あたり150万円を計上できることになります。これは納税をする際、非常に大きな差になります。事業主が、どう考えても事業に必要無く、私的に利用するために、4年落ちの高級車を好んで買うのは、このような事情があるからです。
経費計上するなら押さえておきたい注意点
自動車に限らず、上記のようなことを読むと「何でも経費計上、減価償却すれば得だ」と考える方もいるでしょう。しかし、忘れてはならないのが、減価償却は、税制上の優遇措置であるということです。
それゆえ、条件があります。それは「耐用年数が1年以上あること」「対象物から耐用年数に応じた財産としての利益が計算できること」「10万年以上のものであること」です。つまり、青果店で買った野菜や果物、美術品、生き物、棚在庫などの現在ある商品などは対象になりません。
まとめ
そもそも減価償却費とは何なのか、新車と中古車で違いがあるのでその注意点、自動車を経費計上するなら押さえておきたい注意点について解説してきました。減価償却は、非常に有用な制度であるので、ぜひとも利用したいところですが、注意点もあることがわかりました。自動車に限らず、利用する価値は多いにあります。こちらで紹介した内容も参考にぜひ賢く利用してください。