軽自動車を購入するなら自動ブレーキシステム搭載車にするべき?
近年の軽自動車にはさまざまな先進装備が搭載されており、自動ブレーキシステムもそのひとつです。実際に交通事故が減少したという効果も立証されており、搭載車を購入するかどうか検討中の方も多いことでしょう。この記事では自動ブレーキシステムについて解説するとともに、搭載車種を購入するべきかどうかについても解説いたします。
自動ブレーキシステムとは
自動ブレーキシステムとは、追突の危険性が高まった際にブレーキ操作を運転者にうながすシステムです。走行時に歩行者や車といった障害物を感知し、衝突の危険があれば警告音を発してドライバーに危険を知らせ、それでもブレーキがなければ自動でブレーキを作動させます。一般的には「自動ブレーキ」といわれていますが、正式には「衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)」といい、国土交通省によって規格も定められています。
なお、その規格とは「静止している前方車両に対して50kmで接近し、衝突を回避または衝突時に20km以下にまで速度が落ちる」「20kmで走る前方車両に対し50kmで接近し、衝突を回避できる」「自動ブレーキが作動する0.8秒前には警告音を発する」の3つであり、この条件すべてクリアできれば、自動ブレーキシステム搭載車として認可されるわけです。
実際に自動ブレーキが搭載された車は非搭載車に比べ、昼間の事故なら60%以上、夜間の事故は20%以上減少したという効果も立証されている上、搭載率も新車の場合9割に達しており、現在の車はほぼ全てが自動ブレーキ搭載車といっても過言ではありません。
ちなみに、自動ブレーキシステムには主に車の感知のみ反応する「AEBS」と、車と歩行者の両方を感知できる「AEBS2」の2つがあり、名称もメーカーによって「トヨタ・セーフティ・センス」「エマージェンシーブレーキ」「アイサイト」と異なっていますが、意味する内容はどれも自動ブレーキを指しています。
自動ブレーキシステムの注意点
自動ブレーキシステムは現在のほとんどの車に搭載されているため、多くの人に認知されています。しかし、その効果まで正しく認識していない人は多く、JAFのアンケートによると2人にひとりは誤った回答をしていたという報告もあります。その誤った回答とは、「危険を感知すると自動でブレーキをかけて衝突を回避してくれる」というものです。
自動ブレーキはあくまで衝突の衝撃を和らげるためであり、衝突そのものを回避するためのシステムではありません。危険を感知するとまずドライバーに警告音を発して危険を知らせ、それでも止まらない場合にはじめてブレーキを作動させるシステムです。車はその一瞬の間にも進み続けるため、止まり切れず衝突してしまう、ということも考えられます。
たとえばトヨタの自動ブレーキは30kmの速度までなら完全に停止できる制動力を発揮しますが、それ以上の速度が出ていると、当然止まり切れず衝突してしまうでしょう。このように自動ブレーキシステムは事故を完全に防げるわけではないため、過信は禁物です。
自動ブレーキシステムの搭載が義務化
近年では度重なる交通事故の影響により、自動ブレーキシステムは2021年以降に搭載が義務化されるようになりました。ただし義務化されるのは2021年11月以降に販売されるフルモデルチェンジの新型車に限り、既存車種のように継続生産されている車であれば2025年12月以降と予定されています。
よってこれから販売される新型車は自動ブレーキが例外なく搭載されるようになりますが、気になる点は「今持っている車も自動ブレーキを搭載しなくてはならないのか?」という点ではないでしょうか?
結論からいえば、既にお持ちの車に自動ブレーキが搭載されていなくても問題はありません。というのも、自動ブレーキは後付けで取り付けられるような代物でもなく、既存車種に対しては取り付けの義務はないからです。義務化の適用はあくまでも2021年以降の新型車に限られるため、ご安心ください。
とはいえ、自動ブレーキが後付けできないことを聞くと、不安に思う方もいることでしょう。こうした方には、アクセルとブレーキの踏み間違いを防止できる「踏み間違い防止装置」が後付け可能のためおすすめします。
自動ブレーキシステムを搭載した車種
自動ブレーキシステムは一見どの車種も同じ効果があるように思えますが、実際はメーカーによって機能や性能に細かな違いがあります。
たとえばホンダの「N-BOX」、ダイハツの「タント」は昼夜問わず歩行者の感知が可能なほか、自転車の感知にも対応するなど、優れた感知機能を持っています。一方、三菱の「ekワゴン」はカメラとミリ波レーダーの併用によって夜間や雨天時など、視野が悪いときにも機能しますが、自転車には感知しないといった違いがあります。
また、日産の「デイズ」や「ルークス」は昼間のみ対応しており、夜間は感知できないなど欠点もありますが、高速道路走行時に限り自動運転が可能な「プロパイロット」という独自システムが搭載されているなど、一概に自動ブレーキの性能のみで優劣を付けられるわけではありません。
このように自動ブレーキシステムは各社性能が異なるため、自動ブレーキ搭載車を検討する場合には、車種ごとによる性能の違いを把握しておくと、より上手な購入につなげられます。
まとめ
自動ブレーキシステム搭載車は軽自動車にも数多く搭載されており、危険が迫った際にはブレーキを自動で作動してくれるため、非常時には大いに頼りになるでしょう。とはいえ、完全に停止できるわけではなく、あくまで衝突を軽減させるシステムということは頭に置いておくべきです。また、車種によって性能や機能にも細かな違いもあるため、何となく安全そうだからと選ぶのではなく、具体的にどのような機能があるのかを把握しておくことも、安全な軽自動車を選ぶコツになります。